世界設定(毎週 火曜更新)
ゴシック
租界
EGG
ラウンダー
階層
世界設定(毎週 火曜更新)
ゴシック
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ゴシックとは、奇怪な陰謀の渦巻く闇の世界と人間社会を行き来する、人間と魔人の間の存在であり、超常的な力と欲望を叶える神器『EGG』を振るい、所属する租界の思惑によって動く。
本ゲームは、ゴシックが主人公であり、彼らが奇怪な事件に関わる事で始まる、陰謀の物語である。
ゴシックの多くは、元は普通の人として生まれ、人間社会で普通に生活をしていた。しかし、人の身では叶えられない強い欲望があり、それを叶える為、租界に入ってゴシックとして生まれ変わる道を選んだ。
ゴシックの体には、租界からの魔力供給によって常に膨大な魔力が満ちており、超常的な特性を有する。その特性は、『洗礼名』『EGG起動』『超回復能力』『不死/老化停止』『魔人化』の5つである。
ゴシックとなった者の姿は、(少なからず例外は存在するが)普通の人間だった頃と変化は特にない。これまで通り普通の人間として振る舞うこともできるし、周囲との人間関係さえ壊さなければ、ゴシックになる前の人間社会での立場を継続することも可能である。体内構造にも変わりはなく、病院で精密検査をしても普通の人間であると診断される。
ただし、懐胎系EGGを宿している者や、魔人化した場合は、人間の姿から掛け離れた異形の姿となってしまう。
それぞれの租界では、ビザンティンと呼ばれるお抱えの神官たちが、石墳の間にて常に儀式を行っており、所属するゴシックたちへ絶えず魔力を発信し続けている。
ゴシックの心臓はその魔力を受け取ることができ、これよりゴシックの身体は常に尽きることのない魔力に満たされている。
もし、神官が魔力発生の儀式を(あり得ない話だが)中断した場合、自ら魔力を生成することができないゴシックは、即座に魔力が枯渇してしまう。
ゴシックの心臓は、人間の心臓と見分けられないほど酷似しており、仮に医者が開胸診断しても違和感を感じさせる事もない。
しかし、魔力を帯びている為、魔力を感知できる者が接触するのであれば、《感知:触覚/霊感》判定によって違いを見抜く事は可能である。
心臓こそがゴシックの核であり、魔力の供給を受け続けている限り、ゴシックの身体に死が訪れることはない。攻撃を受けると、人間の身体と同じようにゴシックの身体も破壊されてしまうが、高速で元通りに再生する。
仮に、一瞬で心臓を丸々消し飛ばしても、残った身体が勝手に別の細胞をベースに培養を始め、新しい心臓が誕生する。全身の細胞1つまで塵も残さず完全に消滅させれば、流石に再生は不可能だが、五体をバラバラにされても「新鮮な髪の毛」が一本でも残っていたら、そのうち復活を遂げてしまう。
その為、ゴシック同士の戦闘においては、相手を完全に倒す事は重視されず、戦意を挫いたり攻撃手段を潰すなどして、一時的に無力化する事で決する。
無敵と思われるゴシックだが、実は完全に倒す方法がいくつか存在する。その1つが、カノポス壷である。
対象の肉体から心臓を抜き取り、まだ心臓に魂が宿っている内に、カノポス壷へ納めて封をする。すると、魂とのリンクを遮断された肉体は、コントロールを失ってしまい、ただの死肉と化す。これにより、ゴシックを完全に封印する事が可能である。(別項『ゴシックの死/カノポス壷』を参照)
ゴシックが備えている、超常的な特性の1つ。
洗礼名とは、ゴシックとなった時に租界から授けられる通り名である。洗礼名はただの通り名ではなく、魔力によって言霊を宿し、その名を授けられた者を「デモンダム(魔界)に干渉する存在」へと変える。
ゴシックは自分の洗礼名を口にすることで、普通の人間からは意識されなくなる。人間は本来、「マテリアル(現界)に属する存在」であり、他の世界層に属する存在を感知・干渉する事ができない。
また、人間社会で使っている社会名(本名、もしくは租界から用意された偽名)を口にすることで言霊の効果は停止し、再び、普通の人間から意識されるようになる。洗礼名と社会名を、適所や状況に応じて上手く切換えれば、普通の人間と接することも、干渉されずに行動することも、自在になる。
コスト | 不要。名乗るだけで所属する層を切換える事ができる。 |
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洗礼名 | デモンダムの存在となる(租界に赴くときに必要。戦闘や魔法行使などを人間から隠蔽するときに便利。) |
社会名 | マテリアルの存在となる(人間社会の一員として振る舞うときに必要。租界が用意した偽名でも効果がある。) |
ゴシックが備えている、超常的な特性の1つ。
EGG起動とは、EGGが特殊能力を発揮する為に必要な魔力を注入する為の適性である。
EGGは有能な魔具であるが、その反面、非常に魔力の燃費が悪い。絶えず大量の魔力を送り続けていないと、すぐに能力が停止してしまい、再び魔力が送られてくるまで、ただのオブジェクトと化してしまう。ゴシックは常に租界から膨大な魔力が供給され続けているので、EGGに大量の魔力を分け与えることが可能である。
もし、人間の魔術師など、限られた魔力しか持たない者がEGGを所有した場合は、まず強い倦怠感に襲われる。それを無理して持ち続けると、EGGに全ての魔力を吸い取られてしまい昏睡状態に陥ってしまう。
なお、使い魔系EGGと懐胎系EGGは、自立活動に最低限必要な魔力だけは、自身の食事によって自己生産してくれる。しかし、食事で得られる魔力だけでは、特殊能力を一切発揮することができなくなってしまう。
コスト | 不要。 |
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ゴシックが備えている、超常的な特性の1つ。
超回復能力とは、超常的な再生力のことである。超回復能力を持つ者は、自身の肉体が傷付くと、即座に回復を開始し、高速で損傷箇所の再生してゆく。深刻な傷痕や部位の欠損、普通なら即死するような凄惨な破壊すら覆し、如何なる損傷からもゴシックの肉体は元通りの完全な状態に再生される。
超回復能力は、心臓に魔力が供給されている限り常時発動しており、毎分1点ずつの速度で回復する。
戦闘中ならば、毎ラウンドの終了時に、負っている全ての障害の [フェイタリティ] がそれぞれ1点ずつ減少する。
強い想いを込められた傷や、治せるのにずっと放置していた傷は、魂をも傷つけてしまう。魂を刻まれた傷は肉体にも傷痕として現れ、いつまでも残り続ける。それが『消せない傷痕』である。
超回復能力の効果でも「消せない傷痕」を治すことはできない。「消せない傷痕」によって障害が発生している場合は、その障害は永遠に残り続ける。
コスト | 不要。 |
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再生速度 | 毎ラウンドの終了時に、全ての障害のフェイタリティが1段階づつ減少。 |
ゴシックが備えている、超常的な特性の1つ。
不死と老化停止の能力には、コストは必要ない。心臓に魔力が送られていれば機能する。
ゴシックといえども、体の構造自体は(少なからず例外は存在するが)まったく普通の生身の肉体であり、攻撃を受けことで負うダメージは、普通の人間と差異がない。殴れば痣ができ、傷が開けば血に染まり、剣を振り下ろせば四肢は切断され、腹を裂けば臓腑が地に崩れ落ち、頭を撃てば脳漿が空に散る。つまり、ゴシックの肉体も人間と同じように破壊できる。
しかし、普通の人間なら確実に「即死」するような状態でも、ゴシックならば死ぬことはなく、普通に活動が可能である。戦闘においても、障害による制限さえ受けなければ、いかなる容態でも普段通りの戦いができる。例え、脳を吹っ飛ばされ身体を細切れにされても、四散した肉片が寄り集まり敵に襲い掛かろうと蠢く。
即死に相当する負傷を負った場合は、晦冥を1点消失する。これは、如何に肉体が不死であっても、魂自身が己の死を錯覚してしまうからである。
ゴシックは自身の老化を自由に止めることができる。この能力により、千年、万年と生き続けた長寿の者でも20才ぐらいの全盛期としての肉体を保つことが可能である。老化停止の能力は本人の任意の期間だけ解除することができ、望むのなら、時の流れに合せて肉体年齢を進ませることもできる。ただし、若返ることはできないので、肉体年齢を進ませるつもりなら、覚悟をしなければならない。
コスト | 不要。 |
---|---|
不死 | 完全な不死。ただし、即死相当の負傷を負った場合、晦冥を1点消失する。 |
老化停止 | 永遠に停止可能。任意で解除できるが、若返る事はできない。 |
ゴシックが備えている、超常的な特性の1つ。
魔人化とは、膨大な魔力に満ちた心臓を意図的に暴走させて、魔人に変身する能力である。
日が沈んでいる時間帯なら、コストとして晦冥を1点消失することで、いつでも魔人化を行える。夜が明けると魔人化は強制的に解除されるが、夜明けを待たずに本人の意思で解除することもできる。
ただし、ロールスタンスの『怪人』を受け持っている場合は、本人の意思にも、日の浮き沈みにも関係なく、常時魔人化したままの状態である。怪人の場合は、晦冥を消失する事で、逆に魔人化を解除して元の姿へ一時的に戻れる。
魔人と化している間は、能力値やイニシアチブや近接攻撃が強化され、背中に格納可能な翼が生える。
しかし、見た目が人間から大きく掛け離れる為、アテリアルに存在するには大きな問題が生じてしまい、人間への社交行為は−10の不利な修正が加わる。
コスト | 晦冥を1点消失で魔人化。(ロールスタンス『怪人』の場合は、晦冥を1点消失で魔人化を解除。) |
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有効期間 | 夜が明けるまで。(途中で任意解除可能。日中は変身できない。) |
能力アップ | 【身体】【感覚】【知性】【異能】それぞれ2点上昇。イニシアチブが1点上昇。近接攻撃のDRが2点上昇。 |
防御力 | 能力の上昇に伴い、【自衛力】が5点、【緩衝力】が4点上昇。 |
オプション | 翼が生え『飛行能力』を得る。各ラウンドのピットフェイズにて飛行判定に成功すると、イニシアチブが更に1点上昇。 |
租界とは、本物の魔力的な起源を持った結社の事である。
世界中には、大小さまざまな租界が無数に存在する。
その規模は、1つの国家に匹敵する大規模なものから、姉弟2人っきりという微笑ましい規模のものまで。日本の石墳を押え、国内で活動をする租界の数は、4000とも5000とも言われている。
プレイヤーがPCとして受け持つゴシックは、これらの租界の中でも「貴族院に加盟する9つの租界」の何れかに所属している。
遥か太古より、デモンダム(魔界)には魔人とよばれる者たちが存在し、互いに覇を競い合っていた。
魔人たちは自ら魔力を生成し、それを使って異能の力を振るう事ができる。しかし、世界に点在する『石墳』から魔力を得る事によって、より強大な力を振るう事もできた。
石墳を所有する魔人は、強大な魔力を独占し、石墳を持たぬ魔人の支配が可能である。その為、古代の魔人たちは石墳の所有をめぐって抗争を繰り広げていた。
やがて何十万年か経つと、次第に、魔人たちは果なき抗争でお互いの力を削り合うのを辞め、複数の魔人のグループで石墳を共同所有するようになった。
その間、石墳は次々に発掘され、石墳を所有するグループも増えた。すると、グループにはそれぞれに特色が生まれ、それまでフリーだった魔人たちも自分に合ったグループに入るようになり、それぞれのグループは大きくなっていった。
こうしてグループそれぞれが力を増すと、グループ内での規則が必要となり、本格的に組織としての体を成すようになった。この組織化が、租界の基礎の始まりである。
租界としての明確な指針がグループに生まれると、別の租界との交流や対立といった関係性が発生し、結果として以前よりも、租界としての力が重要になってきた。
その頃、魔人たちが存在する世界層であるデモンダムとは別の層であるマテリアル(現界)に、人間といわれる種が台頭を始めてきた。
魔人たちは、自らの租界の強化を計る為、人間たちの中から、自分たちに近い素養を持つ者を、自分たちの手下や仲間として向かえるようになった。これが信奉者やゴシックである。
石墳とは、古来、人類が現れる遥か以前から地球に存在する遺跡であり、実際に「本物の力」を持つパワースポットやオーパーツでもある。
人間社会では知られていないことだが、世界各地で形状やサイズの異なるさまざまな石墳が発掘されている。
日本においては、石墳は『胎動神殿(たいどうしんでん)』や『臍帯之壇(さいたいのだん)』とよばれている。胎動神殿も臍帯之壇も基本的に同じ存在だが、胎動神殿の方が圧倒的に強い力を有し、また稀少である。
石墳が持つ力とは、「奇跡の体現」と「EGGの生産」である。
奇跡の体現とは、石墳に高位の神官が祈りや生け贄を捧げる事で起こる奇跡の力であり、その奇跡の一端が、「魔力の発生」や「人間からゴシックへの転生」である。
石墳は一定周期ごとに『EGG』を生み出し、それを租界に授ける。胎動神殿の方がEGGを生み出す頻度が桁違いに高い。租界の組織力は、所有するEGGが多いほど強大である為、胎動神殿の存在意義は非常に重要である。
胎動神殿を所有する租界は、持たぬ租界に対して圧倒的に優位である反面、その優位性を奪おうとする勢力から常に標的とされてきた。
優位性を防衛する為の対策として、デュパン家の発案により、胎動神殿を所有する租界同士の間で同盟条例が締結された。これにより生まれたのが『貴族院』とよばれる連盟体である。
貴族院の誕生によって、租界同士の構図は「貴族院連盟 対 それに反する勢力」という図式が明確化し、歯向かう意思も実力も無い租界は貴族院連盟の下に隷属し、実力を有していてもあからさまな反意を示さない租界は中立の立場をとった。
その結果、貴族院が自らの安寧と租界間のパワーバランスを護る為、治安を維持する役目を持つ事となったのである。
貴族院とは、デュパン家の発案により創始された、選ばれし租界の連盟である。
貴族院に加盟する租界は、他の租界への強い影響力と治安の責任を持つ事になる。言い換えれば、貴族院によって、他の租界は支配されているとも言える。
加盟に必要な資格は、「胎動神殿の所有(管理)」と「他の加盟租界からの推薦」である。
現時点において、日本で存在が確認されている胎動神殿は9つであり、それらを所有し貴族院に加盟する租界は、下記の租界である。プレヤーキャラクターとなるゴシックは、貴族院に加盟する租界の何れかに属している。
◆ デュパン家
摩天楼の頂に座し、人間社会の政財面に強い影響を与えている租界。高い財力と豊富な人脈を持つ現代貴族。貴族院の発案者であり、創立時から継続して議長を務めている。
元は、近世ヨーロッパの大航海時代にて、航海資金の調達における画期的なリスク分散システムを考案した貿易商の一族。新天地探索の航海の道中、秘境にて永劫の時を眠っていた『旧き魔人』を発見。目覚めた彼から、租界としての使命と、新世代の魔人として顔と力を譲り受けた。現代では政財界の名門として、夜ごとに各界の名士たちを城へ招き、権力世界の天秤を揺らしている。
生まれ持った眼を捧げ、デュパン家に血族として迎え入れられた者には、血族の証である『魔人の眼』が与えられる。魔人の眼は神秘的な力を持ち、まるで深い闇の中で蒼く紅く輝きを放つ宝石のような妖しくも美しい眼光は、目を合わせた者の心を惑わす。
◆ ローランロット家
最古の租界。豪奢な宮殿で愉悦と享楽に耽る、優雅で怠惰的な古典貴族。現存する租界の中では、唯一、第一世代の魔人の流れを継いでおり、由緒正しき伝統を誇る。貴族院の名誉顧問役でもある。
かつては謀略の限りを尽して他の租界の頂点に君臨し、贅沢に彩られた繁栄を謳歌していた時代があった。しかし、永遠の贅沢に漬かっている内に、次第に闘争心を忘れてしまい、虚飾の華々しさを誇るだけの形骸へと堕ち、散る華の如く、すぐそこに迫った終焉の時を待つだけとなっていた。自滅の危機を迎えた頃、時同じくして創立した貴族院の手によって保護され、ローランロットは破滅から救われた。
貴族院がローランロットを救い、名誉顧問役として迎えた理由は2つある。1つは「古えの知財の保存」。そして、もう1つは「連盟の存在意義の泊付け」である。つまり、貴族院がどんなに権力や財力を持っていようと、伝統だけは自力で得る事はできなかったのである。
ローランロット家に血族として迎え入れられた者には、本人が望むのならば『46億年の叡智』が授けられる。この知識は人心を抉るような狂気に満ちた禁忌で、本来、一個人の精神では耐えられずに発狂しかねない代物である。
◆ 宗家 縷流院縁(そうけ るりゅういんえ)
日本上空に浮かぶ空中結界『邪馬台』に存在する租界の1つ。
古来より日本は、邪馬台に集う月読の家系によって護られてきた。これら家系ごとに独立した租界の群は『ルルイエ』と呼ばれ、縷流院縁はルルイエの家元にあたる。縷流院縁は邪馬台の支配者として幻夢郷へ通じる社殿の阿片窟を管理している。
縷流院縁を始めルルイエの租界は、租界であると共に小国でもあり、その民は、無闇に近代文明を頼らず、広大な緑に囲まれた町々で江戸時代初期に似た文化・生活を営んでいる。
◆ シュバルト軍
軍事力に特化した租界。伝説の傭兵軍『鋼鉄の龍(ダ・ドラッケン・デイ・ストールズ)』として国際的に恐れられている。
元々は、古代ローマ時代の一介の傭兵団に過ぎず、租界として地位は高いものではなかったが、神聖ローマ帝国の遠征において帝国を勝利に導いたのが転機となって飛躍。帝国の消滅後は、何処かに居続けること無く戦場を転々とし、歴史に刻まれる戦争には常に現れ、華々しい戦果と伝説を築きあげてきた。
近代の人間社会において、2度に渡って世界を巻き込む大戦を引き起こした首謀者であり、その戦火に乗じて、ある租界から胎動神殿の略奪に成功し、遂には貴族院の地位を勝ち取るに至った。今、もっとも勢いに乗っている租界といえる。
◆ 真紅と漆黒の館
芸能、イベント、秘密クラブ、等あらゆるエンターテインメント興行を支配する租界。
元は、古代ローマ時代におけるプロモーターであり、敗戦国の王族や戦士を拳奴として、コロッセオで殺し合いを興行していた。実は、この死闘はただの残虐ショーではなく、敗者の血や観客の熱狂を神への供物として捧げる拝礼の儀でもあり、神から恩恵を受けていた。
コロッセオに留まらず、時代に応じて、音楽、演劇、テレビなど趣向を変えて、常に神への供物を捧げ続けてきた事により、古代から現代に至るまで、常に大衆文化の暗部で栄華を誇ってきた。
◆ アジフ=ハキム聖会
神の御姿をした巨大なEGGを御神体として崇める租界。人間社会では、世界中で広く大衆の心を掴んでいる伝統的な教団でもある。
他の租界が人間たちに黙っている『世界の真実』を教典として説いている。その教えは民衆の生活に浸透し、どの租界よりも多くの人間の信奉者を抱えている。ゴシックそれぞれが所有する個人のEGGとは別に、御神体としての巨大EGGを信者全員で共有しており、この御神体は魔力を持たぬ人間にも奇跡の力を与えてくれる。
宗教としての教義とビジュアルは、アブラハムの宗教の系譜を思わせるが、まったく違うようでもある。信者でない者からは、邪教とは思われないまでも、謎の教団として認識されている。
◆ MMM(ミュー・トリニティ)
地底に築かれた魔導士たちの国。外界との接点は厳重に護られており、稀に神秘的な力を持つ者が来訪する事もあるが、地上から一般人が迷い込んでくる事はまずない。
かつて地上に存在した『魔術師』と呼ばれる人間たちは、秘術魔法の極みを求めて世捨て人となり、地下の魔境へと潜っていった。そして、子孫たちは地下魔境に人間が生活できる区域を作り上げ、この地で魔法の研究を何世代にも渡って続けてきた。
正式名称「Morgue Mob Mall(亡骸が山積みの地下道)」、通称「ミュー・トリニティ」。
◆ ロッテン製薬
世界的に有名な巨大グループ企業で、数多くの傘下会社を抱える。他の租界との大きな違いは、人間として堂々と人間社会で活動している点である。
表向きのビジネス展開は、慈善福利を掲げてクリーンだが、その実態は、狂気の生体実験施設であり、危険薬物の治験、非道な超能力開発、混合魔獣の錬成、などが行われている。
組織としての本当の活動目的は「神秘の力を科学によって解明する事」であり、将来くる『審判の日』を防ごうという大局的な視点で観るのなら、誰かがやらねばならなぬ事業であり、必要悪とも言える。
◆ クサリ
人間が作った犯罪シンジケード。スタイルはニューヨークマフィアに近い。
貴族院に加盟している為、まるで租界のように扱われているが、正確には租界ではなく、その起源に生粋の魔人は関わっていない。人間のマフィアが金と暴力によって、石墳や神官を手に入れ、幹部候補を魔人に育てる事で、租界としての体を成した。貴族院の地位もまた、策略と抗争による戦利品である。
元は、終戦直後の日本において闇市を開いていた渡世人の衆。それが徐々に傘下の組織を増やし、現在では世界的な犯罪シンジケードにまで成長した。戦後復旧の西洋化の流れを積極的に受け入れた為、いわゆる日本式のヤクザとは異なり、マフィアとして熟成されている。組織としてのクサリには実態が無く、小規模なファミリーが無数に集まって1つの巨大な組織のように活動するというシステムが、クサリの正体である。
クサリという名は後天的なダブルミーニングで、当初は「人と人の絆」を連想する『鎖』であったが、組織規模の拡大に応じて被害者が増えてゆき、いつしか恨みを込めて「腐れ外道」の意で『腐り』と揶揄されるようになった。
日本国内における、密輸武器、違法薬物、美術盗品、保護動物、奴隷人身など、様々な『闇流通』を仕切っており、世界各国の犯罪組織への太いパイプを担っている。ファミリーの幹部になると、それらの流通ラインの1つを任される。
貴族院に加盟していない「非加盟の租界」も多く存在する。むしろ、非加盟の租界の方が圧倒的に多い。
それぞれの租界の規模はさまざまで、1つの国家に匹敵する大規模なものから、姉弟2人という微笑ましい規模のものまで。日本の石墳を押え、国内で活動をする租界の数は、4000とも5000とも言われる。その中には、加盟租界に引けを取らない、強大な権力を持つ租界も存在する。
非加盟の租界には、貴族院に協力的な租界もあれば、敵対的な姿勢をとる租界、中立を主張する租界も存在する。また、連盟の枠を越えて、個々の租界同士で蜜月を交わしていることもある。これらの関係性は絶対ではなく、時の情勢、双方の利害、仁義など、さまざまな要因によって、めまぐるしく変化している。
次に記す租界は「非加盟の租界」のほんの一部である。これらはGM向けのシナリオソースの種であり、PCとしては使用することはできない。
貴族院に非加盟な租界の中には、貴族院に協力的な立場にある租界も存在する。
これらの租界は貴族院の庇護下で護られている。その引き換えとして、貴族院からの協力要請に応じる義務があり、ラウンダーからの協力要請にも、(それなりに)積極的に力を貸してくれる。
◆ ユゴスの図書館
『書物』を司る租界。古今東西、全ての出版物を保管している巨大図書館。
この租界に太古から仕える書記が、人類有史以前からあらゆる事象を書き残している。
魔導書の類いに関しては、世間ではかつての『魔導書狩り』により、すべて焼却されたとされているが、ここでは本物の魔導書が無数に秘匿されている。
◆ クラブ サバト
『黒ミサ』を司る租界。ライブクラブ。
都内、及び主要都市に幾つもの店舗を持つ、お洒落なクラブ。
多数のメタルバンドを擁しており、月何回かライブナイトが開催されている。また、稀にシークレットライブという名の悪魔崇拝イベントを開催しているが、これは完全会員制であり、只の人間や一般客にはその存在すら知らされない。
◆ 蘆凪村
『呪術の里』を司る租界。呪術師を派遣している忍の一族。
とある県境の人里離れた山奥の里を拠点としている。里では、呪術を扱う忍の育成プログラムが伝えられており、古くから人材派遣を生業としている。
◆ ハンドレッド
『殺し屋』を司る租界。殺し屋のギルド。
1殺100万。斬殺、銃殺、絞殺、撲殺、責殺、圧殺、薬殺、燃殺、脳殺、あらゆる殺しのスペシャリトが、依頼者の事細かいリクエストに完璧に対応する。
◆ XBL
『スポーツリーグ』を司る租界。死の地下スポーツ『XBL(エクストリーム・ボックスボール・リーグ)』。その運営組織。
野球と格闘技を混ぜたチーム競技であり、試合中での対戦相手の殺害はルールで認められている。メジャー、マイナー、ローカルの3段階のリーグに別れ、それぞれに20チームほど存在する。試合に出場する選手は各チーム8人で、所属選手の殆どは異能者、異形者である。
◆ ピープルズ
『人権』を司る租界。ゴシックの為の人権団体。
騙されてゴシックにされた者、不当に扱われる者など、ゴシックになった事を後悔している者たちを救済する事を目的として活動する組織。ピープルズによる抗議活動は、非常に過激で過剰であり、もはやテロリストと変わらず、貴族院からも度々問題視されている。
◆ 夜百鬼さぁかす団
『異形演者』を司る租界。異形のサーカス。
昭和初期までは見世物小屋だったが、近年は目立つ場所での公演が打ちづらくなってしまい、秘密クラブや地下空間でひっそりと開演している。
本来、懐胎型EGGを持って生まれた者は、高い身分を保証されるのだが、EGGを起動できるゴシックとなるだけの欲深さがなければ、そのうち見放されて只の見せ物とされてしまう。そのような者たちが最終的に辿り着くのが、異形のサーカスである。
◆ 星雲の雷馬
『機巧騎乗り』を司る租界。機巧騎(ギアガルダ)乗りたちの走り屋チーム。
たまに人間たちの目撃者による噂が上がるが、曰く、乗り手は幽霊らしいとか、化物が走っているとか。毎晩、反則マシン峠最速伝説を築き続けている。
機巧騎とは、走りに特化した搭乗型の機巧遺物であり、メカニックには未だ謎の部分が多く、貴族院から技術提供を受けている。その見返りとして、運び屋など危険な仕事を請負っている。
◆ ワイト オ ウィジャ
『降霊会』を司る租界。降霊儀式を嗜む紳士会。
協会の地下で、霊魂、精霊、悪魔など、の降霊を行っている。この世ならざる存在である『無間の神』との交信が目的。
◆ ティンダロスフォース
『解放軍』を司る租界。貧困国の奴隷解放軍。
傭兵団として各租界の抗争に力を貸しており、日本における活動は主に資金集めが目的である。
特定の租界に専属している訳ではなく、金額次第で何処の陣営へも組みし得る。ただ、資金面では貴族院が他の租界に勝っている為、結果的には貴族院のお抱えに近い状態となっている。
貴族院に非加盟な租界の中には、貴族院に加盟している租界に引けを取らない、強大な力を持った租界も存在する。
これらの租界は、貴族院に加盟している租界を相手に対等の外交を行う事が可能であり、もしこれらの租界が組んだりすると、貴族院とは別の勢力が生まれる事もあり得る為、その動向を貴族院によって注目されている。
◆ マキシモフ家
『美食研究』を司る租界。グルメ界に強い影響力を持つ名門。
アメリカ大陸開拓時代に大陸横断鉄道の1つを運営していた事業家あったが、停車駅各地の美食事情を紹介した本で人心を掌握。
国外に胎動神殿クラスの石墳を所有している事は知られており、貴族院の次期議席と目されている。
◆ イース家
『甲殻種』を司る租界。世界中の珍しい昆虫を集める研究機関。
前支配者である知的甲殻種の生き残りを匿り、前文明の叡智を授かる。
◆ ワイズワート家
『遺跡探検』を司る租界。秘境や遺跡での探検に特化した調査団。
金持ちの道楽と揶揄されるが、数々の結果を残す本物の冒険家である。
◆ 四条財閥
『宇宙開発』を司る租界。月面研究機関。
最先端な活動の反面、大正ロマン主義なのは、日本軍ゆかりの華族だった頃の名残。
◆ 月盟会
『三神殿』を司る租界。貴族院が日本に踏み入る以前、9つの神殿を押えていた租界の連盟体。
実はあと3つ神殿を隠しており雌伏している。
◆ 明旦の揚羽
『艦隊』を司る租界。大日本帝國海軍の亡霊。
起源は平安の武家平氏。世界大戦までは協定会に席があったが、シュバルトに奪われた。
◆ カーラミネ森林公園
『幻想動物』を司る租界。クリプティッドを無数に保有している自然保護組織。
インド山中の秘境に広大な保護区域を持つ。日本でも私有の自然区域にて、恐竜、UMA、魔獣、幻想動物などを保護。
◆ ランドルフ学院
『魔法学校』を司る租界。ミッション系の学園都市
。MMMと同じ流れを組むが、こちらは地に潜らずに、研究にも新しい風を通している。
◆ ナイル・ホープス
『死者の書』を司る租界。古代エジプトの祭司団。
死についての研究を続け、古文書から超回復能力、不死、老化停止といった秘技を発掘した。
◆ 正鳥院 鞍馬
『密教』を司る租界。古来より魑魅魍魎を鎮圧してきた密教結社。
国内だけの話であれば、もっとも魔を狩ってきた租界。
貴族院に非加盟な租界の中には、魔人たちの事情に縛られず、人間社会に寄り沿う形で活動する租界が存在する。
これらの租界は、自分たちを租界でありながら人間社会の一部だと認識している為、貴族院とそれに敵対する租界の権力抗争には関わり合いを持とうとせず、人間社会の現状維持を第一に考えて行動している。ただ、人間社会の秩序に繋がるのなら、何れかの租界と手を握る事はあり得る。
◆ 縷竜院 海淵(るりゅういん かいえん)
『陰陽省』を司る租界。内閣府陰陽省の指南役。
陰陽省とは、正式な政府機関の1つで、異能力による吉凶の判断や、妖から国機能を守護する機関である。陰陽省への職員の提供と指導が海淵の役目となる。
源流を辿ると縷流院縁の分派にあたり、かつては邪馬台の一角に存在していた。平安時代に朝廷に重用された事で、独立した租界として地上に座すようになり、現代に至るまで歴代の権力者の傍で妖から守護する役目を果たしている。
◆ 公安549課
『警察』を司る租界。公安機動捜査隊の一部署で、正式名称は「警視庁公安部 外事第549課 対怪奇結社防諜」。
奇怪な事件を人間社会側から処理をする為に組織された魔人部隊。世間から隠蔽された秘密組織であり、警察内部でも一部の者にしかその存在は知らされていない。
基本的には国の秩序の外に存在している租界とは敵対的な立場である。しかし、貴族院とは特別条約を結んでおり、貴族院が人間社会に味方をするのなら、という条件の元に、ラウンダーが人間社会で円滑に捜査を行えるよう、偽造身分の発行や特例法による保護などの便宜を図っている。
◆ アッシュとジュリア
『魔獣狩り』を司る租界。フリーの魔獣ハンターとして名を馳せている姉弟。
姉弟によるコンビで、弟のアッシュ(唖守)は天才魔少年、姉のジュリア(珠理唖)は美貌と凄腕を持つ女戦士である。後援組織として、神官でもある千早教授と、彼の考古学研究室が、技術提供や祭壇の管理などをサポートしている。
主に表立って狩りをするのはジュリアで、アッシュは後方でサポートチームの指揮を執っている。姉妹によってここ数年で発見された新種の魔獣の数は100を越え、大きな研究機関でも太刀打ちできない実績を誇る。
◆ 這怪詩創社(しゃかいしそうしゃ)
『ゴシップ』を司る租界。出版社であり、オカルト雑誌の編集室。
創刊50年以上の伝統を持つオカルト雑誌『深迴』の出版社。かつての深迴は、一部のファンの間では、文通募集欄が様々な租界への入り口として機能していた事が知られており、かなりの部数が発行されていた。
近年は、世間の紙離れから経営は困難を極めてしまい、オカルト雑誌の出版社としての矜持を捨て、金策として出版したヤクザ関係や芸能ゴシップの雑誌による売上げが収益の大半を締めるようになった。ただ、実際はこれしきの方向転換では倒産の危機を免れるには足らず、ファン有志による献金によって辛うじて存続している。
◆ モジョニヨルTV
『租界報道』を司る租界。アメリカ外資のケーブルTV局。
各国から集めたホラードラマや怪奇特番やを1日中放送している、オカルト専門チャンネル。最近、契約世帯数が1万を超えたとの発表があり、その殆どは、不定期で放送される局独自のPPVが目当てである。
実は、深夜のメンテナンス時間に流されるノイズが言霊による租界報道となっており、異能者だけが視聴する事が可能である。
◆ ミザリッカ画壇
『芸術』を司る租界。魔性に魅入られた芸術家たちの組織。
芸術の中には、見る者を歪ませてしまう為に表に出す事ができない『闇の作品』が存在し、それを生業とする芸術家たちが、己の作品を発表する場が、闇の画壇である。
『闇の作品』を専門で扱う闇画商も出入りしており、単純なコレクションとしてだけではなく、呪いの祭具としての需要もある為、彼らが売る『闇の作品』はとてつもない値で取引されている。
◆ 九相葬祭
『心霊捜査』を司る租界。訳ありの仏様専門の葬儀屋であり、特殊清掃業者としての側面も持つ。
霊界との独自のパイプがあり、人ならざるものからの依頼で、怪奇事件の捜査を請負っている。また、事件現場の隠蔽も引き受けている。
近年は、WEBを積極的に活用した一般客向けの広報活動でも成功を収め、メモリアルビデオの作成で高い評価を受けており、受注が後を絶たない。
◆ 哮る神父の会
『愛の説法』を司る租界。アジフ=ハキム聖会の分派にあたる異端教会。
牧師たちは、信徒やそれ以外の者にも「仔羊どもに説法など不要だ!拳だ!殴れ!隣人を愛してやれッ!オマエはオレが受け入れてやるッ!」と唱える。どうやら、理屈ではなく、熱量がすべてのようである。
アジフ=ハキム聖会の御神体は、分派には奇跡の力はあたえてくれない。哮る神父の会では、宣教師の証であるアンク(祭具系EGG)によって小さな奇跡が起こり、宣教師が集まる事で奇跡の力は増幅する。
◆ ダム イット!!
『若者文化』を司る租界。若者から絶大な支持を得ているモッズ系のギャング。
繁華街のクラブを拠点とし、傘下に多くの若者たちを抱え、ドラッグの売買、飲み屋の用心棒、芸能風俗への人材派遣など、反社会分子の育成に力を入れている。
不良たちにとって、ダム イット!!のパーティーに参加する事は大きなステータスであり、租界であるという事実は知られないまま、若者文化に深く根を張っている。また、ギャングスター(カリスマ構成員)の多くは、女子中高生徒の間でアイドル化しており、彼女たちファンとの交流は独自のネットワークとして機能している。
◆ 太陽の子たち
『孤児』を司る租界。表向きは孤児院で、正体はストリートチルドレンを束ねた工作員育成機関。
白の牧師と呼ばれる組織によって運営されている孤児院。身寄りのない子供やストリートチルドレンを養っている。
この子供たちは、裕福で人間らしい生活と引き替えに、工作員としての教育を施される。そして、ゴシックとなるほどの力量を身に付けた子供は、養親に言われるまま、組織的な工作活動に加担させられる。子供たちには善も悪も区別はなく、ただ純粋に愛情を得たい一心で、言う事に従っているだけなのだ。
租界は日本国内にだけ存在しているのではなく、より多くの租界が海外に拠点を構えて活動している。
それら海外の租界の中には、日本国内の租界と密接に関わっていたり、仮拠点を日本国内に置いている租界も存在する。
ここで言う「拠点」とは石墳の所在地を指している。複数の石墳を所有する場合は、もっとも大きな臍帯之壇が置かれている地、もしくは、胎動神殿が発掘された地が拠点となる。
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『』を司る租界。
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摩天楼の頂に座し、人間社会の政財面に強い影響を与えている租界。高い財力と豊富な人脈を持つ現代貴族。貴族院の発案者であり、創立時から継続して議長を務めている。
デュパン家が自ら主催する夜会は、大物しか出入りできないVIPパーティーとなっており、政財界の天秤はデュパン家が思うがままに揺らしていると言っても過言ではない。
デュパン家の歴史は、近世ヨーロッパ、大航海時代の小さな貿易会社から始まる。香辛料を求め未開の地に捜索隊を送ったところ、偶然、秘境の奥地で石墳を発見し、永劫の時を眠っていた『旧き魔人』を発見。目覚めた彼から、租界としての使命と、新世代の魔人として顔と力を譲り受けた。
租界としての歴史は浅く新参であったが、航海船に出資する資産家たちに向けて革新的なリスク分散システムを提唱したことで急成長を遂げ、租界としての地位も盤石なものとした。その後も発展を続け、近代貴族のリーダーとなったデュパン家は、新しい租界のあり方として『貴族院協定』を提唱した。この出来事は、全ての租界にとっても関係を一新するものであり、新たな歴史の幕開けとなった。これを機に全租界の勢力図は2つ割れ、多くの租界は貴族院が敷く紳士協定に賛同し、デュパン家の躍進を疎ましく思う者たちは何処かへと消えていった。
そして時代は流れ、新大陸の開拓、大移民、新国家の礎、大戦での暗躍、民族宗教紛争への介入、戦後の高度急成長、気付けばあらゆる世界情勢の裏にデュパン家の姿があった。デュパン家の歴史を辿ると、まさに開拓ビジネスの歴史そのものである。沈むことを知らぬ太陽、それが現在もっとも高い政治力を持つデュパン家の姿である。
デュパン家が友好的な関係を築いている租界は、おもに古典貴族に分類される租界である。魔力を振るう存在らしからぬほど現実主義で革新思想なデュパン家と、退廃的かつ幻想的な旧き様式美を重んじる古典貴族たちとでは、けして交わらぬようにも思われるが、けしてそのようなことはない。
デュパン家は表社会、裏社会問わず、多くの名士や資産家たちと繋がっており、主催する夜会に彼らを貴賓に招くとこで政財界への影響力を振るっている。表社会ならそれで良いのだが、実は租界としての歴史が僅か数百年しかない為、デュパン家単独では裏社会への影響力は高くはない。そこで、長い歴史を持つ古典貴族からの後ろ盾を得ることで、裏社会への影響力を補っているのである。また古典貴族からしても、優雅な生活と浪費を支える為のパトロンの存在は必要不可欠であり、友好な関係を築くことは、双方にとって利害が一致しているのである。
デュパン家に属するゴシックは、上質なスーツを品良く着こなし、摩天楼の上空から政財界の戦場を指揮する新時代の貴族である。貴族としての堂々とした品格を持ちつつも、政治家や企業家として現実的な考え方を併せ持ち、自分は社会のリーダーとして人の上に立ち世を正していく、という真っ直ぐな向上心を信条としている。また、デュパン家にも暗部は存在し、禁酒法時代のマフィアのように、敵対者を徹底的に追詰め1人残らず虐殺する過激一派もいる。それと、開拓時代の冒険家のように、伝統を尊じつつも常に新しい発見や驚きを求めて、世界を流転とする旅人も存在する。
最古の租界。豪奢な宮殿で愉悦と享楽に耽る、優雅で怠惰的な古典貴族。現存する租界の中で唯一、第一世代の『旧き魔人』の純粋な流れを継いでおり、由緒正しき伝統を誇る。貴族院の名誉顧問役でもある。
かつてのローランロット家には、謀略の限りを尽して他の租界の頂点に君臨し、贅沢に彩られた繁栄を謳歌していた時代が存在した。その様は、まさに「闇の貴族」の象徴として相応しきものであった。ところが、人類史よりも永い歴史の中で栄光ある伝統は歪んでいき、次第に闘争心を忘れ、虚飾の華々しさを誇るだけの「貴族の形骸」へと堕ちてしまっていた。財は底を尽き、散る華が如く、すぐそこに迫った終焉の時を虚飾にまみれて待つだけとなっていた。
しかし、その時を迎えようとしていた頃、時同じくして創立した貴族院の手によってローランロット家は保護された。永き歴史と伝統を持つ最古の租界は破滅から救われ、貴族院の名誉顧問役として招き入れられたのだ。
貴族院がローランロットを救い、名誉顧問役として迎えた理由は2つある。1つは「古えの知財の保存」。そして、もう1つは「連盟の存在意義の泊付け」である。つまり、貴族院がどんなに権力や財力を持っていようと、伝統だけは自力で得る事はできなかったのである。
飾りきれない程の美術品、抱えきれない程の芸術家、溜め込みきれない程の財宝、世界中のありとあらゆる眩さを一身に集めたきらびやかさは、優美という言葉を体現しており、まさに貴族の中の貴族と言える姿である。ただし、財を湯水のように消費するだけで、生産性を伴うことはまったくない、醜悪な貴族という意味合いが大幅に締めてられている。
このような俗な面はあくまでもポーズであり、実は、人類が地上に出現する遥か以前に『旧き魔人』と古の神々が交わした秘儀を今でも護り続けている、という噂も存在する。こうとでも深読みでもしないと、貴族院の保護の元とは言え、ローランロット家が曲がりなりにも今日まで繁栄できている理由が、あまりにも不可解なのである。
ローランロット家が友好的な関係を築いている租界は、自身と同じく古典貴族に分類される租界である。現代において、時代の流されること無く、尚も古典貴族然とした存在でいるには、互いに矜持を持つ租界同士で繋がっている必要があるからだ。しかし、似た者同士のサガさなのか、その関係性はあくまでも表面的なもので、裏では互いに互いの喉元に刃物を向け合っているような関係でもある。
また、芸術や享楽を与えてくれる租界や、それらを抱える為の財となるパトロンの租界とは、彼らを自身の生命線と認めた深い関係を維持している。
ローランロット家に属するゴシックは、豪奢なスーツ、綺羅美やかなドレス、最高品の宝飾をまとい、上級階級の人々の中心で一際の華やかさを誇っている古典貴族である。貴族としての高い自意識と矜持を自身の全てとしており、誇りを失うことは死を意味している。また、貴族院からの要請がない限り、低俗な者との接点はまったくない。
ローランロット家の内部には、伝統ある名家の貴族以外にも、彼らから寵愛を受けている芸術家や決闘家なども、多く存在している。
EGGとは、所有者とともに成長する神器であり、所有者の願望に沿った形態・機能を持つ。
正式名称「Eldar God Generator」、通称「エッグ」。
EGGは石墳から産まれる。その石墳を管理する租界によって、EGGの所有や仕様は厳重に管理されている。
正体は古き神の失われた精神の器の一部が具現化したもの。膨大な魔力を必要とする為、無尽蔵に魔力が供給されるゴシックでないと扱えない。
EGGはその特徴に応じて、幾つかのタイプ別に分類される。「武装系」「祭具系」「使い魔系」「懐胎系」「機巧遺物系」などが代表的なタイプである。複数のタイプの特徴を兼ね備えた複合型や、これらとは別の特徴を持つEGGも存在する。
武器や防具などの形態をしており、武装品として使うEGG。
武装品としてのステータスを持つが、所有によって「武装浸蝕度」に犯されることはない。
武装ランクは、純粋な武装系ならばランク4、他のタイプとの複合型なら追加されるタイプ1つにつきランクが1段階低下する。
異能を宿した媒体としての機能を持つEGG。
自身の異能を所有者に授ける。形態には幾多ものヴァリエーションが存在し、その例としては、装飾品、宝石、書物、 ロザリオ、携帯電話、コンパクトなどが一般的である。
純粋な祭具系EGGというものは珍しく、他のタイプとの複合型である場合が多い。
一個人としての命と自我を持つEGG。NPCクリーチャーであり、多くの場合は所有者に忠実。
タイプに関わらず全てのEGGは個々の自我を持っており、強く自我を主張するもの、無機物然として黙るものなど、有り様はさまざまである。使い魔系EGGは、自我を主張するだけでなく、独立して行動をする「主要NPC」として扱われ、ラウンダーとしてロールスタンスを担う。
レイヤーとは、次元の層である。
地球の全ての空間は、『マテリアル』『デモンダム』『アストラル』『セレスチャル』4つの層が重なり合っており、同じく空間に4つのが同時に存在している。
それぞれの層には、異なった理の者が住み分けされている。本来は自身が存在していない層への感知・干渉はできず、何らかの条件を満たしている場合や特殊な能力がある場合に限り、感知・干渉が可能となる。
同じ空間に存在する層は、互いに均一化しようと影響し合う。その為、景色が歪に似ていたり、似た物体が配置されたりする。
マテリアルとは「人間が存在する物質層」を指す。
普通の人間の立場からすると、現実世界に相当する。
普通の人間は、感知・干渉が可能なのはマテリアルだけで、この中でのみ存在が許される。
霊感の高い人間やマテリアルに馴染みきっていない幼子の中には、他のレイヤーを感知する者も存在するが、干渉まで可能な者はごく稀である。
デモンダムとは「魔人や魔獣が存在する物質層」を指す。
普通の人間の立場からすると、いわゆる「魔界」や「妖の世界」に相当する。
デモンダムの大気は魔力密度が濃密で、魔人や魔獣など、魔力を糧とする者が生息している。
ゴシックは、マテリアルとデモンダムを自由に行き交いが可能で、租界の本部はデモンダムに存在している。
なお、特に意図がない場合、戦闘はデモンダムで行われているものとする。
アストラルとは「精霊や霊魂が存在する霊体層」を指す。
普通の人間の立場からすると、いわゆる「あの世」や「冥界」に相当する。
マテリアルの死者も、デモンダムの死者も、死後の霊魂はアストラルにスライドして閉じ込められる。
アストラルの者は、元居た層への感知が可能であり、稀に干渉が可能な者も存在する。
一般的に信じられている地獄のイメージは、アストラルからの生還者が伝えた、魔獣や魔人との遭遇の報告が基であるとも言われている。
セレスチャルとは「神格や高位の霊が存在する霊体層」を指す。
普通の人間の立場からすると、いわゆる「天界」や「神界」に相当する。
如何なる方法でも、神格や高位の霊以外は、セレスチャルを感知・干渉することが出来ない。ただし、セレスチャル側から認められた場合のみ、特殊な能力を持つ者は感知のみが可能となる。
逆にセレスチャル側からは、他のレイヤーへ一方的に干渉することは可能である。その為、セレスチャルからの干渉を必要としている人間や魔人は、神格を持つ者へ祈りを捧げて願いの聞き届けを乞うている。